岡崎市南部にある福岡町。三河湾へ通じる「吉良道」を抱え、交通の要所となったこの町の風景は、古い家並みと田畑が連なる様子を僅かながらも残しています。遠方へ続く幹線道から枝分かれした私道がこの家並みを縫い巡り、寺や神社を町の四方に鎮座させながら町全体が杜を成しているような、そんな風景の中にこの住宅は建っています。
計画するにあたって、二世帯住宅、庭の保存、既存離れの活用、そして、伝統構法を採用することが条件として与えられました。すべからく日本の木造住宅の大半は在来軸組構法を採用しています。その中で、伝統構法とは構造材等を工場にて一元管理するプレカット加工をせずに、木の特性を活かして材を刻み、仕口・継手加工によって架構を組んでいく日本独自の工法です。その工法をあらゆる諸条件に当てはめていく作業が大きなテーマになりました。
1階の親世帯と2階の子世帯という階構成に対して、9間に及ぶ切妻の大屋根を掛け、その小屋組みを現すものとしました。玄関とLDKの吹抜けを介して、世帯間を分断することなく一体的な空間となるようにし、外壁の土壁を介して室内空気の蓄熱、調湿、循環を効率的なものとするように配慮してあります。1階道路側は下屋とし、その部分に収納や水廻り等小さなスペースを配して構造と温熱、遮音性能の向上を担保しています。








